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神戸地方裁判所 昭和56年(わ)1074号 判決

本店所在地

神戸市垂水区南多聞台三丁目六番二七号

株式会社神盟

右代表者代表取締役

北川己代治

本籍

神戸市垂水区西舞子二丁目八一四番地

住居

神戸市垂水区南多聞台三丁目六番二七号

会社役員

北川己代治

昭和一八年八月二〇日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤田寿一出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社神盟を罰金一、〇〇〇万円に、同北川己代治を懲役一〇月に各処する。

被告人北川己代治に対し、この裁判の確定した日から二年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社神盟(以下「被告会社」という。)は、神戸市垂水区南多聞台三丁目六番二七号に本店を置き、土木建築工事等を目的とする株式会社であり、被告人北川は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人北川は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空の外注費を計上し、これによって得た資金を仮名の定期預金にするなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和五二年一二月一日から同五三年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七、三五七万二、一三八円あったにもかかわらず、同五四年一月三〇日、同市須磨区衣掛町五丁目二番一八号所在の須磨税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、三二五万二、一一七円でこれに対する法人税額が三六一万四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二、七六八万三、二〇〇円と右申告税額との差額二、四〇六万九、一〇〇円を免れ、

第二  昭和五三年一二月一日から同五四年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六、四二八万五、八七三円あったにもかかわらず、同年五五年一月二八日、前記須磨税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、七九五万九、五〇五円でこれに対する法人税額が五四八万五、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二、三九六万五、三〇〇円と右申告税額との差額一、八四七万九、九〇〇円を免れ、

第三  昭和五四年一二月一日から同五五年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五、九一五万八、一六六円あったにもかかわらず、同五六年一月三一日、前記須磨税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、八一二万三、六三〇円でこれに対する法人税額が五七三万三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二、二一三万一、四〇〇円と右申告税額との差額一、六三九万七、九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人北川の当公判廷における供述

一、被告人北川の検察官に対する供述調書四通

一、被告人北川の大蔵事務官に対する質問てん末書一一通

一、被告人北川ほか作成の確認書六通

一、北川成子(三通)、湯浦好子、崎久保雄治(二通)、北川貴、富澤保の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、赤松利広、井間正之、福岡聡和作成の各供述書

一、大蔵事務官作成の昭和五六年七月二四日付証明書

一、大蔵事務官作成の査察官調査報告書一九通

一、神戸地方法務局登記官作成の登記簿謄本三通

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の同年七月二一日付証明書(検甲四号証)、脱税額計算書説明資料(同七号証)、脱税額計算書(同一〇号証)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の同年七月二一日付証明書(検甲五号証)、脱税額計算書説明資料(同八号証)、脱税額計算書(同一一号証)

判示第三の事実につさ

一、大蔵事務官作成の同年七月二一日付証明書(検甲六号証)、脱税額計算書説明資料(同九号証)、脱税額計算書(同一二号証)

(法令の適用)

罰条 判示各事実毎に刑法六条、一〇条により昭和五六年法律五四号による改正前の法人税一五九条一項、被告会社につき更に同法一六四条一項

刑種選択 被告人につき懲役刑選択

併合罪 被告会社につき刑法四五条前段、四八条二項、被告人につき同法四五条前段、四七条本文、一〇条

(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)

執行猶予 被告人につき刑法二五条一項

訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条

(裁判官 鈴木輝雄)

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